グループディスカッションは就職活動において避けて通れない選考ステップの一つです。 書類選考や筆記試験と違い、初対面の人と議論しなければならないことや、明確な対策方法が見つからず不安になる学生が多いのではないでしょうか? ここではグループディスカッションの進め方を中心に、各課程での具体的な発言例や、気になる評価のポイントを紹介します。議論のポイントを押さえて、しっかりと対策を練りましょう。
グループディスカッションとは
グループディスカッションは、企業の就職試験における選考方法の一つです。応募者を3~8人程のグループにして、決められたテーマに対して制限時間内にディスカッションを行い、結論を出すというものです。 その過程で、メンバーがどのように議論に参加し、グループに貢献できるかを企業が評価します。書類選考、筆記試験や面接試験では評価できないコミュニケーション能力や協調性に加え、テーマに対する思考力や発想力を評価することが目的です。 対人能力を評価するのに有効な上、多数の応募者を効率良く選考できるため、多くの企業がこの選考方法を採用しています。
グループディスカッションの進め方の全体像
1.時間配分決定
2.前提確認
3.目標確認
4.検討プロセス決定
5.検討
6.発表
ここでは課題解決型のテーマ「スーパーマーケットの売り上げを2倍にするには?」を例にして、各過程を説明していきます。
1.時間配分と役割分担の決定
グループディスカッションのおすすめの時間配分とは?
制限時間が30分で課題解決型のディスカッションであれば以下の時間配分がおすすめです。
時間配分と役割分担の決定・・2分
前提確認・・・・・・・・・・5分
目標確認・・・・・・・・・・2分
検討プロセス決定・・・・・・3分
検討
アイデアの発案・・・・・・6分
アイデアの整理と決定・・・5分
発表の準備・・・・・・・・5分
予備・・・・・・・・・・・・2分
課題解決型では、前提確認において課題に対する原因や現状を分析しなければならないテーマが多くあります。そのため、前提確認にしっかり時間を充てる必要があります。 また、実際のディスカッションにおいては、必ずと言っていいほど時間がずれ込みます。必ず予備の時間を設けて、時間に余裕のある議論を行いましょう。
役割分担の決定
企業によっては役割分担を決めるように指示されている場合がありますが、そうでない場合にも決めておいた方が無難です。あらかじめ役割分担を決めておいた方が、議論をスムーズに進めることができ、意見の書き漏れなどを防ぐことができます。
最低限、「司会」「書記」「タイムキーパー」の役割は決めておきましょう。
2.前提確認
前提確認って何を決めるの?
議論すべきことを明確にするために、テーマにおける具体的な前提を確認し合います。議論のスタート地点であり、議論の方向性を決める非常に重要な過程です。
グループディスカッションで出題されるテーマは抽象的なものが多いため、問題に対して具体的な背景を決めておかないと議論が発散してしまいます。前提条件を決めることでメンバー全員の視点をそろえ、「テーマで問われている課題の解決とはどのようなことなのか?」という問題意識の統一を図ります。
テーマ例「スーパーマーケットの売り上げを2倍にするには?」の場合であれば、どのようなスーパーマーケットなのかを決めておく必要がありますので、以下のように議論を展開して行きます。
発言例
単にスーパーマーケットと言っても、「大規模の駅ビル内にあるもの」、 「大型ショッピングモール内にあるもの」 、 「地方郊外にある単独のスーパーマーケット」 など様々だと思います。これらのスーパーマーケットで売り上げを2倍にするには、それぞれ違った方法が必要になると思いますので、どのようなスーパーマーケットなのかをメンバー全員で確認してから議論しませんか?
このように、最初にメンバー全員で前提条件を確認し合い、スタート地点を設定することができれば、議論すべきことが明確になります。また、前提条件が具体的であるほど、後の議論において的がより絞りやすくなります。
例題では、「地方郊外にある単独のスーパーマーケットで、競合店が複数存在する」という前提条件にします。
課題解決型グループディスカッションでは原因分析が必要
テーマによっては、前提確認の過程で「問題が生じている原因」を分析する必要があります。原因を解消することがテーマの解決策となることがあるからです。
例えば「地球温暖化を解決するには?」などのテーマの場合は、「地球温暖化とは何なのか?」に加え、「地球温暖化の原因は何なのか?」ということを確認して、その原因を解消する方法を議論していくことができます。
このように、問題に対して原因が存在するテーマの場合には、原因を分析して焦点を絞ることで、議論をスムーズに進行できるようになります。
ここに面接官は注目! 前提確認のポイント
グループディスカッション全体の流れを決める最初の過程なので、ここで積極的に発言できるメンバーは、後の議論をリードしていくメンバーになる可能性が高く、また、一番に話を切り出すという点からも、議論を次の段階へ推し進めていく推進力を持った人として認識されます。
グループディスカッションにおいて最も評価されるのは、チームが議論を建設的に効率よく進行し、的確な解決策を導くことに貢献した人です。
そのため、前提確認においては上記のような、議論に積極的な姿勢で取り組むこと、議論の進行に大きく貢献できることが評価のポイントになります。
3.目標確認
目標確認とは?
課題の解決とはどのようなことなのか、何を達成することなのかを具体的に確認する過程です。グループディスカッションにおけるゴールを設定することになります。 「2.前提確認」で決めた条件をもとにして、「課題解決」の意味することを考え、目標を決定します。
スーパーマーケットのテーマ例であれば、自然とその目標は「売り上げを2倍にすること」になりますが、それが何を意味するのかを掘り下げて考える必要があります。
スーパーマーケットの売り上げについて、単純に以下の方程式が成り立つとします。
「売り上げ=客数×客単価」
この方程式から、「客数」と「客単価」と言う2つの要素を増やせば、売り上げを増やすことができると分かります。ここで、この2つの要素をどのように増やして売り上げを2倍にするべきかを検討し、目標を定める提案をします。
発言例
「スーパーマーケットの売り上げを単に2倍にすると言っても、「売り上げ=客数×客単価」から分かるように、「売り上げ」は2つの要素から成り立っているので、その方法は何通りもあります。この2つの要素をどのように増やすかを決めて、それを達成して売り上げを2倍にすることを議論の目標にしませんか?」
このように提案することで、メンバー全員が同じ目標とゴールへの筋道を確認できるようになります。
ここでは仮に、「客数を2倍にすることで売り上げを2倍にする」ことを目標にします。
ここに面接官は注目! 目標確認のポイント
目標確認の過程では、課題解決の意味を的確に読み取って理解する能力、その意味を具体的に分析する能力が求められます。また、具体的に目標を分析するには相応の知識が必要で、さらに、それをメンバーに伝えるためには、論理的で説得力がある発言でなければなりません。
端的に考えを整理して、相手に上手く伝えられる人が評価される場面と言えるでしょう。
4.検討プロセス決定
検討プロセスのポイントとは?
目標を達成するために必要な条件を決め、解決策を議論するための基礎となる部分を構築する過程です。つまり、メンバー全員でどのような道のりでゴールを目指すべきかを検討する段階です。特に「2.前提確認」で決めたスタート地点と、「3.目標確認」で決めたゴール地点を見失わないように議論を進めることが大切です。
スーパーマーケットの例題では、前項において「客数を2倍にすることで売り上げを2倍にする」という目標を立てました。ここでは、客数を2倍にしていくプロセスを議論します。戦略などの言葉に置き換えることもできます。
「競合店にないサービスで差別化を図ることで集客を行い客数を増やす」
「スーパーマーケットをあまり利用しない世代を呼び込めるような施策を行い客数を増やす」
「このスーパーマーケットを知らない人に、その存在を知らせ呼び込むことで客数を増やす」
様々なプロセスが考えられますが、これらを絞り込むことで、後に具体的な施策を検討するときに、論点が明確になります。また、「2.前提確認」で決めた条件をもとに提案を行うことで、説得力のある発言になります。
発言例
始めに確認した「地方郊外にある単独のスーパーマーケットで、競合店が複数存在する」という前提を踏まえて、「競合店にないサービスで差別化を図ることで集客を行い客数を増やす」
という戦略を考えてみました。
もちろん、この他にも様々な戦略があると思いますが、それらを提案してもらった上で、戦略を一つに絞ってみてはどうでしょうか? その方が後で施策を議論するときに、論点が明確になって議論がスムーズに進行すると思います。
例題では、「競合店にないサービスで差別化を図ることで集客を行い、客数を増やす」ことをプロセスに決定して、次の過程へ進むことにします。
ここに面接官は注目! 検討プロセス決定のポイント
解決策の方向性を決める過程なので、きちんと前提条件と目標を見据えたプロセスの提案ができているかが評価のポイントになります。前提条件を踏まえていない提案や、目標とすることから的が外れている提案は、メンバーが対応に困惑し、議論の進行の妨げになる危険性があります。当然、面接官からマイナス評価を受けてしまう可能性があるので注意が必要です。 前提条件や目標を的確に読み取る能力に加え、戦略の発想力や、それを裏付ける知識が求められます。また、グループディスカッションにおいて最も重要な議論を推し進める能力という面では、戦略をメンバーへ正確に伝える発言力、検討プロセスをまとめて方向性を決める展開力が評価の中心となるでしょう。
5.検討
議論の注意点とは?
具体的なアイデアや解決策を出し合った後、これらをまとめてグループとしての解決策を決定する過程です。議論において最も注力しなければならない場面であり、最もメンバーとのコミュニケーションにおいて注意を払わなければならない場面でもあります。
メンバー全員からアイデアや解決策を吸い上げる
この段階では、とにかく多数のアイデアをメンバー全員から吸い上げることが重要です。以下のポイントを意識して効率よくアイデアを集めましょう。
・必ずメンバー全員からアイデアを吸い上げる
・他のメンバーのアイデアを否定したり評価したりしない
・聞き手となるときの姿勢に注意する
アイデアや解決策をグループに分類して整理する
メンバー全員からアイデアや解決策を吸い上げたら、結論を検討する前に、似たようなアイデアをグループにまとめて分類してみましょう。グループに分類して整理することで、内容が重複しているアイデアを明確にしたり、観点が全く違うグループが存在していることを確認したりできます。
結論を決定する
ここで大切なのは、メンバー全員が納得できるように解決策を決めることです。他のメンバーの意見を尊重しながら議論を進める必要があります。
・多数決で裁決しない
多数決では少数派の意見を切り捨てることになり、少数派のメンバーが不満を抱くだけではなく、グループで結論を出すことに評価の重点をおくグループディスカッションにおいては、あるまじき手段です。
・解決策に対する評価の基準を設ける
メンバー全員が納得できるように、客観的な評価の基準を設けて評価していきましょう。テーマにもよりますが、スーパーマーケットの例であれば、 「効果」「即効性」「実現性」「コスト」などの項目で採点を行い 、最良の解決策を選定しましょう。
解決策に磨きをかけて発表の準備をする
解決策が決まったらそのまま発表するのではなく、さらにアイデアを掘り下げて分析し、発表の対策を行います。
・5W2Hを意識すると効果的
ビジネスにおいて物事を計画的に進めるときに使う確認事項です。5W2Hを利用して、計画に見落としがないか確認してみましょう。
・効果的な表現を意識する
解決策に強みがあれば、それを効果的に打ち出すための工夫を施し、説得力のある発表ができるようにします。
・弱点を確認しておく
短時間の議論で出した解決策なので、必ず弱点があります。弱点を把握した上で、それを補完する対策を練り、面接官の質問や指摘に対する準備をしましょう。
・予行演習を行う
発表時間に制限がある場合には必ず予行演習を行い、時間配分を確認します。発表時間の過不足に応じて発表のボリュームを調節しておきましょう。
ここに面接官は注目! 検討のポイント
メンバー全員がアイデアを提案し議論を行うことで、最もコミュニケーションが活発化する過程ですので、当然、コミュニケーション能力に評価の重点がおかれます。
最も重要となるのは、やはりメンバー全員が議論に参加して、解決策を決定することに貢献することです。メンバー全員でグループディスカッションの選考を突破するという意識を持って臨みましょう。
他の メンバーを尊重できるような協調性 も重要な評価の対象です。相手の意見をただ否定するのではなく、意図することを理解したという姿勢を示した上で、論理的に自分の意見を伝えたり、相手の意見を汲み取るような代替案を提案しましょう。
アイデアを提案して議論する過程なので、発想力とそれを裏付ける知識が必要です。どの過程でも評価の対象となるものですが、的を射た論理的で説得力のある提案をすることが大切です。また、解決策が本当に実現可能かどうかを客観的に考察できる フラットな視点 が求められます。
6.発表
面接官に解決策が明確に伝えられるかどうかは発表で決まります。発表者の発言の仕方以外にも、非発表者がサポートすることも大切です。以下の項目で発表者と非発表者がどのような動きをするべきか説明します。
ここに面接官は注目! 発表者のポイント
面接官が発表者に求めることは、「グループで出した結論を的確に伝えることができるか?」です。いくら優れた解決策でも、それが相手に上手く伝わらなければ評価につながりません。発表時間も限られているので、要点をまとめ、簡潔で論理的な発表を心がけましょう。
このときに、ビジネスシーンで利用される「PREP法」を使うと良いでしょう。
P=Point・・・・結論
R=Reason・・・・理由
E=Example・・・事例や具体例
P=Point・・・・結論を繰り返す
PREP法を使えば、結論を最初に伝えることで、発表の趣旨を確実に相手へ伝えることができ、後の説明の意図も伝わりやすくなります。
ここに面接官は注目! 非発表者のポイント
発表のときに面接官が注目するのは発表者だけではありません。グループディスカッションである以上、非発表者が発表者に全てを任せてしまうような姿勢はマイナス評価になってしまいます。発表をサポートする方法を考え、実行しましょう。具体的なサポート方法の一例を紹介します。
・発表の順序や段階に合わせて、タイミング良く発表資料を掲示する、または掲示を下げる
・タイムキーパーを選出して経過時間や残り時間を計り、発表者へペース配分の指示を出す
・予想される質問や指摘への対応を分担しておき、質疑のときにスムーズに答えられるように準備しておく
このような方法で発表を積極的にサポートして、メンバー全員で発表に臨んでいるという姿勢をアピールしましょう。
まとめ
このように、グループディスカッションは複数の人と議論を交わさなくてはならないため、非常に多くの注意点があります。
しかし、議論の進め方や発言のコツを押さえて、グループで一致団結して目標に向かって議論しようという意識を持てば、自然と議論がまとまっていくことでしょう。
しっかりと対策を行い、ディスカッションを成功させて選考突破を目指しましょう。
GD対策は必要。でも、本質的なキャリア形成をしたいなら
GD対策は、内定の確率を上げるのに必要なことですが、はたして「内定を獲得すること」は真のゴールといえるのでしょうか?
「仕事」という時間は人生の大半の割合を占めています。そんな中、周りの意見や評価に流され、自分の心の中の意思に反する形でキャリアを選ぶことは将来の自分の首を苦しめるだけなのではないでしょうか。 GD対策に取り組む前に、ぜひ自分自身と語り合ってみてください。
意味のあるファーストキャリア形成をビズリーチ・キャンパスは様々な形で応援をしています。 我々のサービスを覗いてみませんか?