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業界研究

ADKが米投資ファンドに買収された。それ、どういうこと??

10月2日に、広告業界に激震が走るニュースが公開されました。記事によれば、アメリカの投資ファンドであるベインキャピタルが、ADKを株式公開買い付け(TOB)で買収し、完全子会社化する方向で、両社とも同意に至ったとのことです。 三大広告代理店と呼ばれ、日本国内第3位の規模を誇るADKが、アメリカの投資ファンドに買収されるとは、いったいどういうことなのでしょうか? この買収が合意に至った理由を、かみ砕いて説明していきます。

こんにちは。ビズリーチ・キャンパス編集部、広告業界研究チームです。
10月2日に、広告業界に激震が走る、こんなニュースが公開されました。

米ベインキャピタル、広告国内3位のADKを買収へ
https://japan.cnet.com/article/35108161

記事によれば、アメリカの投資ファンドであるベインキャピタルが、ADK(アサツー・ディ・ケィ)を株式公開買い付け(TOB)で買収し、完全子会社化する方向で、両社とも同意に至ったとのことです。

三大広告代理店と呼ばれ、日本国内第3位の規模を誇るADKが、アメリカの投資ファンドに買収されるとは、いったいどういうことなのでしょうか?
この買収が合意に至った理由を、かみ砕いて説明していきます。


ベインキャピタルってどんな会社?

ベインキャピタル(Bain Capital LLC)は、米国・マサチューセッツ州ボストンに本社を置く、世界的なプライベート・エクイティ・ファンドです。1984年にベイン・アンド・カンパニーのシニアパートナーらによって設立され、2016年時点では世界で10番目に大きいファンドとなっています。(※現在は、ベイン・アンド・カンパニーとの法的関係・資本関係は存在しない全くの別会社となっています)。

日本でも積極的に買収を進めており、これまでに、すかいらーく(2014年IPO)、ドミノピザジャパン(2013年売却)、ジュピターショップチャンネル(2015年売却)、ベルシステム24(2015年IPO)雪国まいたけ(半分売却)、ディーアンドエムホールディングス(2017年売却)などの買収を手掛け、現在は、大江戸温泉物語や日本風力開発、雪国まいたけが投資先になっています。

また、最近では東芝の半導体会社である東芝メモリの買収における中核企業としても話題になりました。


今回の買収について

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ADKは、なぜベインキャピタルに買収されることになったのでしょうか。
今回の買収は、株式公開買い付け(TOB)という形での買収で、これが完了すれば、ADKは完全子会社化され、東証一部の上場も廃止されます。
ベインキャピタルの2日の発表資料によると、同社は1株当たり3660円で公開買い付けを行ない、総額は最大約1517億円となります。また、これと同時にADKは英WPPグループとの資本提携関係を解消することも決定したと発表しました。


株式公開買い付けTOBって?

少し難しい言葉が出ましたが、ここで今回の買収形態である「株式公開買い付け(TOB)」について勉強しておきましょう。

「株式公開買い付け(TOB)」とは、ある企業が「この企業の株を、いくらで、何株、いつまでに、買います!」と宣言することで、その企業の株を不特定多数の投資家から買い集めようとする行為のことをいいます。

TOBをする主な目的としては、企業の経営権を取得して、買収や子会社化をするというものが多いです。
ポイントは、TOBは取引市場を通さずに行われ、期間内に予定の株数を買い集めるまで行われるということです。仮に予定株数が集まらなかった場合には、TOBの取り消しをすることも可能です。
取引市場を通さないわけですから、株を買い集めるためには、取引市場で決められた株価よりも高い買い取り額を提示することになります。
そのため、既存の株主としても、TOBで買い付けを行う企業に対して株を売却するインセンティブが働きます。
今回のTOBでは、ベインキャピタルは、ADKの株を1株当たり3660円で、4162万3579株、10月3日から11月15日までに買い集める予定です。
3660円という価格設定は、過去3カ月間の終値の平均値より24.3%高くした価格です。

さて、このTOBには、友好的なものと敵対的なものの2種類があります。


友好的なTOB

買収される側の賛同を得たうえで、経営権を取得しようとする友好的なTOBです。買収後も買収される側の経営陣が企業経営に関わることが多いです。
あらかじめ賛同を得ているため買収しやすく、買い取り価格も低めに設定されるという特徴があります。
今回のADK買収のケースも、ADK側がTOBに賛同したうえでのTOBであり、友好的なTOBに分類されます。


敵対的なTOB(株式公開買い付け)

こちらは友好的なものとは異なり、賛同なしに一方的なTOBを仕掛ける敵対的なTOBです。TOBを仕掛ける側は、その企業を強引に手に入れようとするのでTOB価格を高めに設定したり、当初設定していた価格を引き上げたりすることもあります。
名前の通り敵対的に買収されるものなので、当然買収される側も何らかの対抗措置を取ります。
かつて堀江貴文氏のライブドア社がフジテレビに対して仕掛けたのが、この敵対的なTOBです。
この敵対的なTOBは、フジテレビの経営権を握る為、株式の過半数(50%)の取得を目的として行われました。(結果としてはフジテレビの買収防衛策により失敗しました)


買収の目的と今後の方針

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さて、今回の買収は友好的なTOB、つまり同意の上でADKがベインキャピタルに買収されたということがわかりました。
では、ADKの目的とはいったい何だったのでしょうか?

本件に関してADKは、自社のプレスリリースにて、
インターネットの浸透で業界環境が大きく変化しているため、一旦、非上場化して長期戦略を立てると説明しました。

これに伴いADKは、筆頭株主で株式の25%弱を保有する世界第一位の英広告会社WPPグループとの資本・業務提携の解消を決議しました。
 
ADKは変革を必要としており、英WPPとの20年に及ぶ資本・業務提携では、その活動が厳しく制約されていました。
ADKは声明の中で、WPPとのパートナーシップが長期的な期待に応えるものではなかったと言及しました。「開始当初は一定の成果を生んだ」ものの、時代は変化し、WPPの存在が実質的利益に資するものではなくなったとのことです。

マスメディア主体のADKは、近年売上高が3500億円程度と横ばいで推移し、営業利益も伸びていませんでした。WPPとの提携効果も薄く、関係を見直す狙いもあったとみられます。

今後同社は、「急速に市場が変化を続ける中で、従来の広告代理店業のビジネスモデルを超えてクライアントの課題を解決するマーケティング支援を行い、消費者の行動を喚起していく『コンシューマー・アクティベーション・カンパニー』へと大きく変革する」とコメント。
そのために大胆かつ横断的な改革が不可欠とし、多様な事業パートナーと連携する「オープンネットワーク型」のグループへの転換を進める方針です。
株式の非公開化により意思決定プロセスの簡素化、改革スピードを向上させるほか、ベインキャピタルがこれまで蓄積してきた事業改善ノウハウや、人的支援・経営管理体制に関する支援を受けながら、大胆な改革施策を速やかに推進していくとしています。


まとめ

今回の買収の要点は以下の通りです。

・両社同意の上での友好的なTOBであること
・ADKはWPPとの提携関係を見直したいという意図があったこと
・ADKは変化の激しい時代に対応できる体制を整えたかったということ

就活生の皆さんは、このニュースをどう受け取るでしょうか?
米投資ファンドに買収されたということで、業界がざわめくニュースではありましたが、目的を見ていくと、極めて積極的な意思表示だとも見て取れます。
ADKの企業HPには、より詳細なプレスリリースが出ていますので、自分で情報を取りに行ってみるのも良いかもしれません。

あるいは、直接ADKで働く社員さんに会いに行って、質問してみるのもよいでしょう。よりリアルな現場の情報が得られる貴重な機会かも?
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