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独立行政法人国際協力機構

慶應生が聞く、 スケールの大きな仕事に 若手から挑戦できる JICAの秘密

インタビュー

JICAに新卒で入社し、自分の想いを形にしようと日々奮闘するJICA職員に、慶應義塾大学の3年生がOB訪問対談をしてきました!その模様をお届けします。

OB/宮坂和憲(写真:左)
【Profile】慶應義塾大学総合政策学部卒業。大学4年次に休学し、ガーナの教育ボランティアに参加した。半年間、中学校の教員として活躍し帰国。就職活動では“アフリカ”をキーワードに商社やメーカー、JICAなどにエントリーしたと言う。JICAに入社した後は農村開発部でエチオピア、ルワンダ、ブルキナファソを担当。現在は南アジア部南アジア第二課に異動し、パキスタンとアフガニスタンの支援に従事している。

学生/正能由佳(写真:中央)
【Profile】慶應義塾大学環境情報学部3年生。脳情報科学研究会に所属し、音を聞いたときの脳波を研究している。勉学に励むかたわらでインターンシップにも挑戦。8ヵ月間にわたってWebマーケティング会社の人事部で業務を学んでいると言う。人への関心が高いことから人材業界、人事部を志望しているが、その他の業界・業種の可能性についても検討中。JICAの仕事を知るために先輩訪問に参加した。

学生/丸山寛史(写真:右)
【Profile】慶應義塾大学環境情報学部3年生。普段は競走部に所属し、週5日間は陸上競技のトレーニングに没頭している。インドネシア語の語学力を試したいと、2016年に1ヵ月間の短期留学に挑戦。就職活動では“ひとつの国にしばられないキャリア”を模索しているものの、業界・職種に関してはまだまだ調べ切れていないと言う。今回は自分にあった仕事選びの参考にしたいと、先輩のオフィスを訪れた。

学生時代のアフリカへの挑戦が、世界に挑戦する覚悟を与えてくれた。


先輩: 今日はオフィスまで来てくれてありがとうございます。
学生: 本日はよろしくお願いします。色々と勉強させてもらえたらなと思っています。
先輩: どこから行きましょうか。やっぱり就職活動についてでしょうか。
学生: そこがとても気になります。ご自身の経験が聞きたいです。
先輩: 大学時代、私は“アフリカ”を軸に就職活動をしていました。それこそ業界も業種もあまりこだわっていなくて、当時は「国際協力を絶対にやりたい」とは思っていませんでした。
学生: なぜアフリカだったんでしょうか。
先輩: 就活の前、半年間アフリカのボランティアに参加していたんです。ガーナで中学生の先生をしていたのですが、それが縁で興味を持つようになりました。
学生: たしか学生団体の「AIESEC」に参加されていたと聞いたのですが。
先輩: 高校生まではパスポートすら持っていなかったんですが、その学生団体を通じて東南アジアに行くようになって。そこから世界で働くことに関心を持つようになったんです。でも、短期間の生活では見えてこないものもあるし、世界で働くことに覚悟を持つことができずにいたんです。本当にその道でいいのかと。長期間、現地の人と同じ食べ物、同じ暮らしをすれば、確信のようなものが生まれるんじゃないかと思いました。
学生: それがアフリカに行った理由なんですね。
先輩: 実際に行くことで、見えてきたものがあります。私が滞在した村でも、優秀な中学生は多かったのですが、経済的な理由などから高校に行けない子たちがたくさんいました。その子たちの進学を応援することはできないか。そんな問題意識が生まれて。一度、帰国して就職活動をしたあとに、「本当のガーナチョコレートを作るプロジェクト」という学生団体を立ち上げました。現地の生徒のほとんどはカカオ農家だったので、彼らが育てるカカオ豆を使ってチョコレートを製造し、日本のバレンタインで販売してその利益で子どもたちに高校に行ってもらおうと計画したんです。
学生: たしか今もプロジェクトは続いていますよね。
先輩: 後輩たちが引き継いでくれたんです。私も休暇を活用しながら、今もプロジェクトに携わっています。
学生: プロジェクトに残る道もあったと思うのですが、どうして就職する道を選ばれたんでしょうか。
先輩: 最近、「学生起業」「アントレプレナー」と言った言葉をよく耳にしますが、当時もそういうことを目指す学生はたくさんいました。でも、なんだか会社をつくることだけが目的になっていることも多いんじゃないかという気がして。私は起業することよりも、なにを成し遂げるかの方がずっと大事だと思ったんです。当時はまだまだ修行中の身でしたし、大きな組織のなかでマネジメントや専門知識を蓄える必要があるなと。そもそも組織に入ってその組織を動かすことができないなら、経営者として時代の荒波を乗り越えていくことはできないと思いますし。
学生: 会社をつくるのはひとつの手段でしかないということでしょうか。
先輩: たとえば「世界にインパクトを与えたい」と思ったら、大きな組織に入ってプロジェクトを立ち上げるのもひとつの手ですよね。なにがしたいのか。そのためにどの手段を選ぶのか。ただそれだけの違いのように思います。私自身、いつかは原点であるガーナに戻りたいと思っているのですが、それをJICAでやるのか、それとも民間企業でやるのかはまだ決めていません。

0を1に。1を3に。それがJICAの仕事。


学生: 商社もメーカーも受けられたということですが、なぜ最終的にJICAを選ばれたのでしょうか。
先輩: 商社もメーカーもとても魅力的だったのですが、最後は“人のスタンス”で選んだところがあります。
学生: 人のスタンスですか?
先輩: アフリカに進出している企業、アフリカに進出しようとしている企業、両方とも受けたのですが、やはりガーナのエピソードがあるのでどの会社も興味は持ってくれたんです。ただ、その温度感が各社とも違って。優秀ではあるものの現地の実情を把握しきれていないなと感じた方もいましたし、ビジネスへの情熱は持っていたものの現地に対する愛情のようなものが感じ取れなかった方もいました。なにか違うなと。
学生: JICAはどうだったんでしょうか。
先輩: JICAはどちらかというと、「希望してこの国を担当させてもらった」「この国のために働いている」という方が多かったんです。熱意を感じましたし、「早く日本に帰りたい」という人は一人もいませんでした。よくもわるくもいい人、真面目な人が多かったという印象でしょうか。
学生: どうしてそのような違いが生まれるんでしょうか?
先輩: やはり民間企業である以上、利益を上げることがひとつの正解ですよね。もちろん経済はその国の成長の要ですし、民間企業の貢献度は極めて高いと思います。ですが、事業を赤字にするわけにはいきませんから、たとえどんなに想いがあっても事業を引き上げざるを得ないときがあります。どこかで冷静にならなければならないのでしょう。
学生: JICAでは、純粋にその国ために力を注げるということでしょうか。
先輩: もちろんプロジェクトを破綻させるわけにはいかないですし、リスクがないわけではありません。しかし、金銭的な利益ではなく、担当する国の成長、日本との信頼関係の構築といったことが目的なので「その国のことは二の次」という姿勢の方はいないと思います。
学生: ちなみに宮坂さんから見て、JICAと商社の役割の違いはどのように見えていますか。
先輩: たとえば西アフリカにあるブルキナファソという国は、まだまだ日本との交流が浅く、ビジネスをするにはブラックボックスのような側面があるんです。どのような国なのか、どのような国民性なのか、どのような農業があって、どのような産業があるのか。まだまだ十分に見えないなかで、民間企業が大規模な投資を行うのはリスクが高い。ですが、JICAは公的な機関なので、こうした国への援助にも積極的に参加することができます。
学生: 商社に先んじて投資ができるんですね。
先輩: 誤解がないように言っておくと、私が担当していたブルキナファソでのプロジェクトは構想段階から商社の方にも参加してもらっていました。やはり20年、30年と担当国の将来を考えるにあたって経済成長は欠かせないものですし、民間企業の方のビジネスに対する知見はとても重要です。個人的な意見を言えば、「JICAはもっと民間企業に引継ぐまでのロードマップを描くべきだ」と考えています。
学生: すいません。民間企業に引継ぐとはどういう意味なのでしょうか。
先輩: あくまでたとえではありますが、その国との関係をゼロから構築し、1~3と成長を広げていくのがJICA。そして商社はその1~3を3~6、6~10へと押し上げていくプロフェッショナルだと僕は考えています。JICAは永続的に支援を出来る訳ではありませんし、いつか支援を終える場面がやってきます。その際、民間企業にその国の成長と発展を託す必要がありますし、長期的な視野に立てばJICAと民間企業がタッグを組むことには大きな意味があると考えています。

その挑戦が、その国の未来を変える。


学生: 実際に入社して感じる、JICAの醍醐味について教えてください。
先輩: これは大学時代に事業を立ち上げたから分かるのですが、やはりJICAのプロジェクトのインパクトの大きさには目を見張るものがあります。
学生: それを感じたエピソードはありますか?
先輩: 入社後、私はエチオピアのプロジェクトを担当することになりました。日本から農業検査機材を導入し、使い方を指導し、教育モデルを確立し、エチオピア人自身の手で農業を発展させていく。それがプロジェクトの計画でした。しかし、その案件は道半ばで終了期間を迎えてしまい、当初の目的を十分に果たす前にクローズすることになってしまったんです。もうすこしで3の投資が、10になって跳ね返ってくる。そんなタイミングでした。
学生: どうしてそのような状況で、終了することになったのでしょうか。
先輩: 当時、エチオピアでは多数のプロジェクトが同時に走っていましたし、エチオピア支援のための予算には限りがあります。国の資金、国民の税金を投資するからには、我々も慎重にならざるを得ないときがあります。
学生: 終了の際、現地の方の反応はいかがでしたか。
先輩: 最後にセレモニーを開催して関係者の労をねぎらったのですが、やはり現地の関係者の口からは支援に対する感謝の声が多くあった一方で、「もう少し支援を継続してくれないか」という声が上がってきました。正直、あと1年延長することができれば大きな成果が得られるのではないか、と私も感じていました。エチオピア人の関係者の声を聞いた私は「これはなんとしても継続しなきゃいけない」という想いにかられましたね。
学生: その後、どうなったのでしょうか。
先輩: 私はまず専門家の方々から徹底的に話を伺うことにしたんです。やはりエチオピアのこと、プロジェクトのことをよく知っているのは、現場で活動している当人たちですから。処方箋を書ける人に聞くのが一番早いと考えたんです。そして、自分の頭で理解して、自分の言葉で語れるようになるまで勉強しました。その後、JICA内部の関係者に1年延長することによるインパクト、その実現可能性について説明し、議論しました。用意した資料に、“リアルな現場”を盛り込んで。
学生: 組織は動かせたんでしょうか?
先輩: 日本にいると感じにくい現場感が伝わったおかげで、関係者の間で議論した末にこのプロジェクトは1年間延長されることになりました。
学生: エチオピアの方々も喜んでくれたんじゃないですか?
先輩: 実は半年ほど前にプロジェクトの報告会があったのですが、その際に専門家の方にお会いしたんです。すると「あの1年延長がなかったら、ここまでの成果は出なかったと思う。エチオピアの人も喜んでいる」と声をかけてくれて。実際に現地では基礎的な技術がしっかり定着し、自分たちで機材の維持・運用をできるようになっていますし、今では政府にかけあって、これらの機材を使ったさらなる活動の拡大に向けた予算を勝ち取るまでに成長しているようです。学生のみなさんからすると「1年延長」は短いことのように見えるかもしれませんが、あの1年延長があったからこそ何千万円もするような機材がプロジェクト終了後も現地の人たち自身の手で活用され、新たな可能性を開いていっているのです。

社会人の第一歩として、JICAは正解だったと思う。


学生: お仕事のやりがい、民間企業との違いは見えてきたのですが、JICAの制度など環境面での魅力はありますか。
先輩: 正直、私は社会人としての第一歩をJICAで踏み出して大正解だったなと思っています。一般企業であれば数年の下積みがあって海外に行くのが通常ですが、JICAでは1年目からプロジェクトマネジメントを任されますし、海外出張の機会も今の部署では約2ヵ月に1回の頻度であります。早い人では3年目、5年目までにはほぼ全員が海外に赴任することができ、これほど早い段階から世界で活躍できるチャンスを与えてくれる会社は珍しいと思うんです。
学生: 宮坂さんは希望通りアフリカ担当になっていますよね。職員の要望は通りやすいものなんでしょうか。
先輩: 「個人の意思を尊重してくれる」と言う方が近いかもしれません。特に若い人の場合は、希望の国を担当することになるケースが多いですね。
学生: それは大きな魅力ですね。
先輩: 1年目からやりたいことを最大限にやれるというのはとても楽しかったです。ただ、先輩として、厳しい部分も伝えてよろしいでしょうか。
学生: ありのままを教えてください。
先輩: 1年目からプロジェクトをまとめるということは、各国の最前線で活躍している駐在員、現地のことに詳しい専門家、コンサルタント、大学教授などの有識者の方々と向き合う必要があるということ。ときには50歳、60歳の大ベテランの方と対等に話をしなければなりませんし、キャリアが浅いからと言って甘えられる環境でもありません。
学生: 宮坂さんのときはどうだったのでしょうか。
先輩: とても知識や経験ではかないませんから、なにを言ってもなにをやっても「君は知識がない」と打ち返されたこともありました。ですが同時に、必死に議論について行こうとすることですごく可愛がってもらいましたし、腹を割って話せる先輩方から厳しく鍛えてもらいました。おかげで、国際協力に関するいい筋肉がついてきているなと感じています。
学生: 最後に学生生活に対してアドバイスをいただけないでしょうか。
先輩: 120点の学生生活を送ってください、かな?
学生: 120点?
先輩: そう。「自分の4年間は最高でした」と胸を張れるようなことに挑戦してほしい。一度、全力でやり切った経験は必ず身になると思うし、いつか大きなチャンスが来たときにすぐにエンジンをかけられるようになる。全力の出し方を知っているわけだから。でも、そうでないと、いざというときにエンストしてしまう。社会人になって本当にやりたいことができるチャンスが来たときのために、学生のうちにできることでいいから、自分にとっての120点を取ってほしいと思っています。
学生: 今日は本当にありがとうございました。また機会があればぜひお話を伺わせてください。
先輩: ちょくちょく慶應大学には顔を出しているので、ぜひ声をかけてください。学生のエネルギーに触れると私も元気がもらえるんです。

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