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株式会社SBI新生銀行

数千億円規模の 欧州洋上風力発電所建設プロジェクトに融資 脱炭素社会の実現に貢献していく。

社員インタビュー

金融エキスパートコース欧州洋上風力発電所建設 プロジェクトファイナンス

大規模プロジェクトに入社5年目の若手を抜擢。ESG投資の強化へ大きな一歩を踏み出す。

大規模プロジェクトに若手が抜擢されることは、新生銀行では、それほど珍しいことではない。しかし、本案件―イギリス洋上風力発電所建設プロジェクト―は時間をかけてプロジェクトファイナンス部が追いかけてきた案件であり、通常の大規模プロジェクトとは重要度が違うことは誰の目にも明らかだった。さらに、新生銀行全体としても、ESG投資(「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に対する取り組みを重視する投資)の強化は大きなテーマでもあったため、再生可能エネルギーを活用する洋上風力発電プロジェクトには全社的に大きな関心が寄せられていた。専属チームは5人。主担当としてアサインされたのが2017年に8月にプロジェクトファイナンス部 海外チームに加わった青木沙恵だった。
「数年前から検討開始が見込まれていましたが、さまざまな理由により遅延を重ね、ようやく検討が始まった案件でした。当部も長らく動向を追いかけていました。世界的に名高い大手金融機関が多額の融資で参加しようとするなかで、当初、私たちが初期段階で提示した経済条件はお客さまにまったく相手にされませんでした。それでも、チームのメンバーが海外にいる関係者を訪れ、洋上風力案件での取組実績をface to faceで丁寧に説明するとともに、社内では「収益性やリスク管理の観点から、当行にとって魅力的な案件になる」と関係部署を説得し、ようやく検討が始まりました。」

希望したプロジェクトファイナンスへの取り組み。英語力と再生エネルギー利用の知識を活かす。


青木は大学では法学部に在籍していた。国際交流サークルでの活動を通じて、「将来は外国人を相手にした仕事をしてみたい」と思うようになり、3年次には香港に渡って1年間、英語と中国語を学んだ。香港で活躍する日本人や、日系企業を目の当たりにし、帰国後は「グローバル展開している日本企業の成長や活躍を支えたい」という思いから、銀行への就職を希望し、多数の金融機関の選考を受けた中で、少数精鋭で自由な気風のある新生銀行が自分に合うと感じて入行を決めた。
「複数の金融機関の面接を受けましたが、若手でも大きな裁量を与えられているという印象を最も強く感じたのが新生銀行でした。また、少数精鋭という説明を聞き、実力主義のドライな雰囲気を想像していましたが、責任があるからこそ、各人が自由な雰囲気で働いていることが分かり、むしろ、風通しの良さを感じました。これは今も変わりません」。
入行後は、再生可能エネルギーを含む、電力・石油などエネルギー分野の国内事業会社を顧客対象とする営業第三部に配属され、リレーションシップマネージャー(RM)としてキャリアをスタートした。
「銀行員の基礎を学ぶ上でも、初めにRMとして働けたことはとても良かったと思っています。担当企業も大企業ばかりで融資金額が大きかったため、銀行員としてのやりがいや手応えも感じていました」。
入行後2年が経過した頃、もともと国際的なビジネスに興味を持っていたことに加え、学生時代に鍛えた英語力や、営業第三部で学んだ再生可能エネルギー分野の知見を活かしたいという想いを抱くようになり、ストラクチャードファイナンスを学びたいとプロジェクトファイナンス部への異動を希望し、2017年の夏に同部へ異動した。
「ストラクチャードファイナンスの分野は高度なファイナンスの知識が求められるため、一般的には、若手社員が異動できる部署ではないと思います。その点、当行では、若手でもこうした専門性の高い分野に異動するチャンスがあります。実際に、私の同期複数人も入社時点から配属されていたため、私自身も、2ケ店目の異動先候補の一つとして、具体的に働くイメージを想い描くことができました」。
念願叶って、プロジェクトファイナンス部に異動となったものの、「一般的に若手社員が異動できない」といわれる理由をさっそく痛感する。
「プロジェクトファイナンスは、コーポレートファイナンスとはビジネス上のリスクや、お客さまとの関わり方がまったく異なるため、初めはとても苦労しました。求められる専門知識のレベルも想像以上で、勉強が必要になることは一瞬で分かりました。「少数精鋭」の意味を痛感した瞬間でした(笑)。一方、そういった時でも、先輩社員が必ずサポートしてくれたので、常に前向きに業務に取り組むことができました」。

そのような中で、期待に応えたいと思っていた青木にとって、欧州洋上風力発電プロジェクトチームへの合流は、今後のキャリアを考えるうえで、願ってもないチャンスであった。案件承認に関する最終判断を下すのはもちろんマネジメント層だが、プロジェクトを精査し、その判断材料を細大漏らさず、しかも主体性を持って示すのはプロジェクトチームの職責である。
「それまでは先輩社員のサポートとして業務を行うことが多かったですが、先輩社員から「やってみなよ。」と言われ、主担当としてプロジェクトをリードする役割を担うことになりました。一からプロジェクトを組み立てる案件を主担当として進めることは初めてであり嬉しかったのですが、よく若手に任せことができるなとも思っていました(笑)」。

プロジェクトのリスクを詳細に検討。洋上風力発電所は期限内に完工するのか?


2019年半ば、新生銀行は正式にレンダー(貸し手)候補として選定された。ここから1,2カ月の間に、プロジェクトのリスク分析を詳細に行ったのち、最終的にどのような経済条件でいくら融資するかといった融資の諸条件を定め、社内の決裁を得たうえで、お客さまに正式に提示することが必要になる。
「プロジェクトを進めるうえで、お客さまが期待する融資額に対して、リスク分析を進めながら、いくらまでなら融資ができるのかについて常に確認していく必要があります。この案件は、もともと世間の注目が高かったこともあり、お客さまはより多額の融資金額を希望していました。それにできるだけ応えていくためには、より深いリスク分析を行い、合理的な説明をしながら社内を説得していく必要がありました」。
プロジェクトファイナンスは、コーポレートファイナンスのように、融資先企業の信用力に返済の確実性を求めるものではない。返済原資は「これから稼働していくプロジェクトが生み出すキャッシュフロー」である。何らかの理由でプロジェクトが頓挫すれば融資は返済されない可能性が高まる。
「先方から送られてきた案件資料は多岐にわたり、風力発電関連の技術レポートから法律・税務に関するレポートまで、相当なボリュームがありました。もちろんすべて英語です。専門用語が多く、英語を活かしたいと思ったことを後悔しかけました(笑)。これらの資料に加えて、Excelの財務モデル、つまり事業収支計画があります。数十枚のシートで構成されており、とても精緻に作りこまれているため、理解するだけでも相当な時間がかかりました。私が検討に費やせる時間はたった数週間。時間との闘いという側面もあったので、非常に苦労しました。先輩社員にも協力を仰ぎ、作業に着手しました」。
多くのリスクを分析するなかで、発電所の完工予定日が遅れるリスクをどの程度見るべきか、青木は考えた。同種の工事の事例の検討など、納得がいくまで資料収集や分析を進め、やがてチーム内の討議、チームリーダーや上司の確認を経て融資の基本方針を定めた稟議書が完成。案件審査会議にて承認を得た。
「先方から送られてきた資料を読み込むだけでは分析は終わりません。資料で得た膨大な情報をひとつ一つ丁寧に精査していく必要があります。数字の裏付けを確認することはもちろん、分析内容が本当に正しいのか?―風力による想定発電量の算出方法は妥当なのか?環境アセスメントは適切に行われたのか?各種専門家による指摘事項への対応策は万全か?等々―といった目線での判断を加味し、分析が不足している項目については、新たな情報を収集して分析を加えることも必要になります。このプロジェクトの大きなポイントは、洋上風力発電所が本当に期限内に完工するのか?という、完工リスクの分析でした。財務モデルでバッドケース―工事が遅れて営業運転が計画通り始まらない、想定通りの風が吹かない等々―を再現し、机上で、返済の可能性を検証することはできますが、そうすると、「このバッドケースは本当にバッドケースと言えるのか」という点が問題になります。さらにひどいバッドケース、つまりワーストケースを想定することも求められる。そして、それが本当にワーストなのか、どこまでワーストシナリオを描くのか、前提を変えれば、それはどこまでも可能なので、キリがないわけですね(笑)。「さすがにこんなにプロジェクトが酷くなる訳がない」という感覚的なラインはわかりますが、それでは社内で説明できません。そこで、先輩にも協力してもらい、プロジェクトファイナンス部が取り組んだ過去の案件を全て見返し、今回のプロジェクトと共通する部分、共通しない部分を整理することにより、適切なバッドケースを作成しました。結果的に、「完工リスクについては引き受けても問題ない」という結論に至り、取り組みを承認いただきました。とりあえず、ホッと一息をつきました。」

最後に重要になるのはやはりチームの力。大きな経験を経て、洋上風力発電の「その先」を創造する。


社内で承認を経た後は、関係者との間で、ドキュメンテーション(契約書内容の調整)に入る。契約書内容の調整はいつだってタフな交渉を要する。特に、国内外の多くの金融機関が参加する、大規模な海外プロジェクトならなおさらである。しかし、案件は決して一人で行うものではない。主担当であっても、チームメンバーを頼り、チームメンバーに助けられる時がある。チーム内の風通しの良さは必要不可欠。どんなポジティブな分析結果よりも心強い。
「大規模の案件のため、関係者も多く、些細なこと一つとっても、合意に至るまでとても時間がかかりました。時差もある中、タフな交渉もいくつかあり、体力的に厳しくなることも多々ありました。しかし、そんな時はチームメンバーが支えてくれました。先輩や上司は、出張中であっても、合間を縫って分析作業を仕上げてくれたことに加え、時差の関係で期限内の回答が難しいメールにも、快く対応してもらいました。当行のロンドンオフィスのチームメンバーが手を差し伸べてくれた時は、本当にありがたかったです。皆さん先輩ですが、全く気兼ねなくお願いごとをできる環境に改めて感謝しました。」
チームメンバーの力を借りつつ、無事に融資実行までを完了させた。現在は分析結果等を確かめるように、定期的に洋上風力発電設備の建設状況をモニタリングしている。案件はまだまだ始まったばかりであり、返済がなされるまでは油断は大敵である。それでも、最大の難所である融資実行までこぎつけた青木は、以下のように振り返る。
「主担当として案件の分析から顧客との交渉まで、多くのことを任されたので自信を得ることができました。プロジェクトファイナンス部に所属する若手の割合がこれほど高く、かつ若手に大きな裁量が与えられている金融機関はおそらく他にないのではと思っています。一方で、一人で案件を獲得し、調印まで進めることは間違いなくできなかったので、各々が強みを発揮し、お互いを補完しあうチームワークの重要性も再認識することができました。洋上風力発電は今後日本でも取り組みが進むと思います。持続可能な社会の実現は地球規模の大きなテーマであり、当行の中期経営戦略の柱のひとつでもあることから、その推進に今回の経験を活かして貢献していきたいと思います。」
間違いなく、新生銀行の今後の未来を担う一人だ。

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