田村駒のベトナム法人、田村駒(ベトナム)は、対日縫製品OEM/ODM事業で主力のカジュアル向けの商況が悪化していることを受け、「欧州向け」や「ベトナム国内での販売」の拡大に本腰を入れる。繊維専門商社でありながらも「非繊維事業」の拡大もテーマとする。
同法人の実質的な初年度だった2018年12月期は、対日縫製品、ベトナム国内での日系副資材企業への裏地販売、同国日系企業へのユニフォーム納入など主要事業がいずれも「悪くない」状況だった。今期は、「ポリエチレン製シート」の対日販売など”非繊維事業”が本格的に始まり、裏地販売も堅調だが、主力の対日縫製品は苦戦を強いられている。
主力のジーンズカジュアルが、日本市場の悪化や中国縫製への回帰を背景に激減した。ただ法人を介さず駐在員事務所で品質管理する対日縫製品はスポーツやユニフォームを軸に増えており、田村駒全体のベトナム縫製品事業は拡大中と言う。
下半期以降もジーンズカジュアルの低迷は続くとみる。打開策として取り組むのが「欧州向けの縫製品販売」。日本本社では既に実績を積んでおり、欧州とベトナムとの間で6月に締結されたFTA(自由貿易協定)も追い風に、本社と連携を図りながら拡大を狙う。同時に、田村駒独自のベトナム製生地開発を加速させ、対日や対欧縫製品事業で付加価値化を進める。
”非繊維事業”は「中国からASEAN地域に移管したいという取引先が多い」ことを受け、品種拡大を図りながら将来の柱事業の一つに育てる。
ベトナム国内販売では雑貨販売などでも可能性があるとみており、まだまだこれから新しいビジネスチャンスを探し続ける姿勢である。
(2019年8月21日 繊維ニュースより抜粋)