富沢さん(左)・釜本さん(右)箱崎事業所のThink Lab Tokyoにて「IBM Quantum System Two」実物大レプリカとのスリーショット
プロフィール
富沢 哲郎
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部 ビジネス・トランスフォーメーション・サービス事業部
戦略コンサルティング シニアコンサルタント
<略歴>
学生時代は工学部で国際開発工学を専攻し、都市における気象シミュレーションに関する研究を実施。また体育会アメリカンフットボール部に所属。
2019年日本アイ・ビー・エム入社。構想策定/実行支援を中心としたお客様へのコンサルティング・ビジネスを担当したのち、現在は量子技術を含めた先進テクノロジーの活用方法検討、および、量子技術に対するセキュリティ対策の構想策定の支援を務めている。
釜本 恭多
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部 ビジネス・トランスフォーメーション・サービス事業部
戦略コンサルティング コンサルタント、IBM Quantum Ambassador
<略歴>
学生時代は工学府で機械システム工学を専攻し、次世代印刷技術をテーマに、流体力学に関する研究を実施。
修士課程修了後、2022年に日本アイ・ビー・エム入社。実行支援を中心としたお客様へのコンサルティング・ビジネスを担当したのち、現在は量子技術を含めた先進テクノロジー活用の支援を務めている。
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お二人はなぜIBMの戦略コンサルタントを志望したのですか?
富沢さん:
学生時代から、将来的にソーシャルビジネスに関わりたいというビジョンを持っていました。実現のために、「問題解決スキルを徹底的に鍛えたい」、「早いスピードで成長できる環境に身をおきたい」と考えて、就職活動を行いました。様々な業界のお客様と関われるコンサルタントは、問題解決スキルを研磨し、常に成長できる環境なので、自分のキャリアに適していると考えました。様々なコンサルティング会社を比較しましたが、IBMの量子技術など自社で研究開発したテクノロジーも活かしたコンサルティングを行っている点に強い魅力を感じ、志望しました。
釜本さん:
私は高専出身で高校から大学まで常にテクノロジーに関わってきたので、当初の就職活動では研究開発職を第一希望としていました。しかし、結果的に戦略コンサルタントを志望した理由は、より大きな社会課題を解決したいと考えたためでした。一企業の研究者として、研究開発を通じた社会課題解決に貢献することも1つの手ですが、コンサルタントとして幅広い企業が抱えている課題を解決することで、業界全体、ひいては日本社会にも貢献できるのではないか、と考えました。またIBMのサマーインターンシップで出会ったIBM社員が、1人1人の学生に寄り添い、成長を手助けしてくれる姿に魅力を感じ、志望度が高まりました。
釜本さんはインターンシップに参加されたとのことですが、入社前後でIBMの印象にGAPはありましたか?
釜本さん:
インターンシップで魅力を感じた社員の人柄の良さについては、入社後もGAPを感じることはありませんでした。入社が決まってからインターンシップでお世話になった社員に連絡したところ、喜んで面談をしてくれましたし、人の良さに間違いはなかったと今でも思っています(笑)一方で、意外なGAPを感じた点は、コンサルタント職でも予想以上に先端テクノロジーに触れられる、ということです。戦略コンサルタントだと、テクノロジーの知見にアクセスすることは難しいかと思っていましたが、誰でもアクセスできるナレッジが整備されていたり、有識者に気軽にコンタクトが取れたり、自分でチャンスを広げていける環境だと感じています。
参画している量子コンピューティングのプロジェクトの概要について教えてください。
富沢さん:
現在、2つの量子コンピューティングのプロジェクトをリードしています。一つは釜本さんも参画している製造業のお客様との量子技術活用に関するプロジェクト、もう一つは金融機関の耐量子暗号プロジェクトです。量子コンピューティングは、量子ビット(Qubit)を用いることで従来のコンピューターが困難とする計算を解くことができる技術です。量子コンピューターはAI・半導体に加えて、将来のコンピューター像の一翼を担うものであり、2030年までに誤り耐性型量子コンピューターの実用化が見込まれている点など、技術の革新が一層加速することにワクワクしています。
釜本さん:
富沢さんと一緒にやっているプロジェクトは、量子コンピューターの活用方法を検討するものです。お客様のサプライチェーンにおけるコアコンピタンス領域の課題を整理し、量子技術によるシミュレーション等の高速化など量子技術の活用方法を模索しています。量子コンピューターの活用により、フロントローディングの実現などサプライチェーンの変革につながり、大きなインパクトを与えると考えています。さらに、量子コンピューターだけなく業務プロセスやデータの見直し、生成AI・IBM Power(注1)等の先端テクノロジーの活用など、お客様の業務全体の改革に係る検討も実施しています。
参画前から量子コンピューティングに対する興味はありましたか?量子コンピューティングのプロジェクトに参画したきっかけを教えてください
釜本さん:
私は以前から量子コンピューティングに興味を持っていて、量子コンピューティング関連のプロジェクトに携わりたい、という強い希望を入社当初から所属長や同僚に繰り返し伝えていました。その後、入社1年目には初級のバッジ(注2)を取得し、量子コンピューティング関連の研修に積極的に参加するなど継続的に知識を深めてきました。そして、2年目の秋に、戦略コンサルティング部門の量子コンピューティングチームのリーダーから直接声がかかり、量子関連のプロジェクトに参画することができました。
富沢さん:
私もIBMに入社する前から量子コンピューティングには興味を持っていて、戦略コンサルティング部門の量子コンピューティングチームのリーダーから声がかかったことで参画しました。当時は量子コンピューティングの専門家ではありませんでしたが、技術を活用した業務改善支援のプロジェクトに数多く参画してきたため、今まで得たナレッジやスキルが非常に役立っています。例えば、全社改革の検討で使用した基本的なフレームワークやコミュニケーションスキル(現場へのインタビューや社内の有識者にアクセスするスキルなど)が、プロジェクトを円滑に進めることに大いに寄与しています。
技術的な知見のキャッチアップはどのように行いましたか?
富沢さん、釜本さん:
書籍やIBM Lighthouse(注3)に登録されたレポート、そして過去のプロジェクト資料を活用して学びました。また、IBM内の量子コンピューティングの専門家、そしてクライアントパートナー(注4)など、社内の多くの専門家からサポートを受けました。
プロジェクトでどのような役割、働き方をしていますか?
富沢さん:
私はプロジェクトマネージャーとして、変革のアジェンダ策定や管理の枠組みの作成を担当しています。毎朝9時にプロジェクトオーナーと確認事項を共有し、その後メンバーと打ち合わせを行いながらプロジェクトを進めています。基本的にはリモートワークで実施していますが、月に1〜2回ほどお客様とのワークショップを虎ノ門で開催しています。チーム全体で協力しながら、プロジェクトの成功に向けて取り組んでいます。
釜本さん:
私はプロジェクトメンバーとして、課題の設定や論点の明確化、ソリューションの検討を担当しています。プロジェクトマネージャーからの指示を受けつつも、プロジェクトに貢献出来るように、自分自身のアイデアを積極的に伝えることを意識しています。また、プロジェクトの進行に伴い、新たな課題や問題が発生した場合には、迅速に対応し、最適な解決策を見つけられるよう、尽力しています。能動的に動くことで、プロジェクトの成功に大きく寄与できることにやりがいを感じています。
先端技術×ビジネスのプロジェクトのやりがいは何ですか?
富沢さん:
コンサルタントとしてお客様と共に新たな未来を模索し、その実現に向けて具体的なステップを踏んでいくことには、大きなやりがいがあります。お客様の課題を解決し、新しいビジネスチャンスを見つけ出すために、様々な角度からアイデアを出し合い、戦略を練ることは刺激的であり、プロジェクトの進行に伴い、目に見える形で成果が現れるのを実感できることは素晴らしい経験だと感じています。このような挑戦的なプロジェクトに取り組むことで、自己成長を感じるとともに、お客様と共に成功を分かち合う喜びを味わうことができる点は、コンサルタントとしての大きな醍醐味です。
釜本さん:
経営とテクノロジー研究の両方の視点を持つことができる点に、非常に魅力を感じます。テクノロジーを実際のビジネスにどのように応用し、価値を最大化させるかを考え、具体的な活用方法を見つけ出す過程には大いにやりがいを感じます。また、テクノロジーが実際の製品やサービスとして形になる過程を見守ることができるのも、大きな喜びです。
釜本さんは会社に勤務しながら博士号を取得したと聞きましたが、 なぜ博士課程に進もうと考えたのですか?また、実際にどのようにそれが実現できたのですか?
釜本さん:
就職活動の時期に、就職か博士課程進学かで迷い、結局就職を選びましたが、入社後も博士号が取れたらいいな、という漠然とした思いを持っていました。IBMで働くうちに、興味を持ったことには自分から手を挙げてチャレンジするIBM社員たちの姿に触発され、入社2年目で勤務しながら博士課程に進むことを決めました。
そして、実際に博士号を取得できたことは、IBMの環境があったからこそだと思っています。平日に学会等が入ってしまうこともありましたが、休暇取得や時間調整に快く応じてくれる人ばかりで、チャレンジする人を応援してくれる環境がありました。また、進学について色々な人に相談する中で、「なぜ博士号取りたいのか」が明確化され、目的意識をもって研究に取り組めたこともやり抜けた要因だと考えています。
富沢さんは若手と関わるうえで大切にしていることはありますか?
富沢さん:
プロジェクトマネージャーとしては、若手に裁量を持ってもらうことを大切にしています。例えば、釜本さんと一緒に参画しているプロジェクトでは、釜本さんは量子技術やシミュレーションにも詳しく、私にはない視点で物事を見てくれています。また、私は別のプロジェクトもリードしており、このプロジェクトにかけている時間も釜本さんの方が長いです。私もディスカッションには参加しますが、釜本さんが腹落ちしているようであれば本人の判断に委ねることもあります。若手社員のマネージャーとしても同様で、その人のキャリアに何かを強制することはしません。ただし、その人自身が将来のビジョンを持っていないことには始まらないので、まずは考えてみよう、と促します。
どんな人と一緒に働きたいですか?
釜本さん:
夢や想いを持っている人です。やりたいことに挑戦できる環境なので、夢ややりがいを持って働ける人と一緒に色々なチャレンジをしていきたいです。
富沢さん:
好奇心がある人です。好奇心がある人の方が私も色々な話が聞けて刺激を受けますし、お客様が知らない知識を持っている方が、新鮮な発想や提案ができて色々な価値が提供できると考えています。
学生の方にメッセージをお願いします。
富沢さん:
IBMは日本でもグローバルでも広く名前を知っていただいている企業なので、大きなプロジェクトの上流工程に関わることができます。VUCA時代の昨今は、お客様の経営課題もより複雑で難易度が高くなっていますが、その分、支援することにやりがいも感じます。また、IBMにはテクノロジー知見・業界知見が豊富な人財が多く在籍しているので、練った構想が具体的な形になるまでお客様を一気通貫でご支援できます。色々なことに挑戦できる企業なので、現時点でやりたいことが明確になっていない人にも勧めたいです。私はもう一度就職活動する立場になっても、IBMを選ぶと思います。
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(注1)IBMのサーバー製品
(注2)個⼈の経験・スキルを証明するもので、IBMでは社員の個⼈評価指標にも採⽤されている
(注3)IBMの社内知識共有ツール
(注4)特定のお客様の責任者