プロローグ
現在住信SBIネット銀行では、「NEOBANK®」というサービスに注力しています。「NEOBANK®」とはパートナー企業と住信SBIネット銀行が提携し、当社が言わば黒子として金融サービスを提供することで、パートナー企業のブランド力を活かしながら、パートナー企業のサービスを利用するお客さまがより快適に金融サービスを利用できる環境を構築することです。これにより、パートナー企業のお客さまが新たなカスタマー・エクスペリエンスを体感することで、パートナー企業へのロイヤルティ醸成を促進するとともに、更なる企業価値の向上に繋げることが出来ると考えております。
当社ではパートナー企業がよりお客さまに寄り添ったサービスを提供するためには「銀行代理業」のライセンスが必要であると考え、推進しています。この「NEOBANK®」サービスの主力事業の1つとして進めている住宅ローン販売における銀行代理業では、具体的に2通りのアプローチ方法を展開しています。
1つ目に、パートナー企業のブランド力を活かし、パートナー企業のサービスに溶け込む形で住宅ローンの販売を行うこと。
2つ目に、店舗展開能力など、パートナー企業毎の強みを活かし、住信SBIネット銀行の看板を掲げたリアル店舗を展開すること(=代理店事業)。
今回のプロジェクトストーリーでは先行してリリースが完了しているリアル店舗展開「代理店事業」にフォーカスを当てて、お話を伺いました。
リアルでの販売に踏み切ったきっかけ
"代理店事業"が始まったきっかけは、ネット銀行が抱えるお客さまとの足りない接点を補い、よりサービスを充実させるためでした。
住信SBIネット銀行の住宅ローンは、これまでWEBからの申込みや大手住宅事業者との提携申込みから案件を獲得してきましたが、今後更なる裾野拡大を目指していくためには新たな営業チャネルを見つける必要がありました。
そんな中、お客さまが住宅ローンを申込みされる際の気持ちに立ったとき、一生に1度か2度しか利用しないサービスをお客さま自身で勉強し、自身で選択することにはやはり不安が多く、実態としてほとんどのお客さまが不動産会社からの勧めが決め手となり住宅ローン選んでいるのではないかと思いました。
だからこそネット銀行においても、お客さま一人一人の相談に親身に対応し、契約までのフォローをきめ細かく行うことができる有人のリアル店舗が必要だと判断しました。パートナー企業と協働してリアル店舗を出すことで、パートナー企業の強みを活かした形で、ネット銀行なのに対面で、という新たなカスタマー・エクスペリエンスを提供できると確信していました。
事業立ち上げに求められたもの
代理店事業立ち上げにあたり会社から求められたことは、収益の最大化と住宅ローンの採算性維持、そして銀行代理業者の業務運営態勢の整備と監督でした。
リアル店舗の展開や新たな販売態勢を構築するためには当然相応のコストが発生します。
しかし、それに見合うだけの収益を確保し、事務効率化などによる採算性を維持することが"代理店事業"を進めていくうえでは必要でした。
さらに店舗の出店数についても、目標値が設定されていましたが、店舗数を増やせばそれだけ新店舗構築コストがかかるので、収益の最大化とコスト抑制の両立が大変でした。
事務態勢の高度化や監督する側の銀行の態勢強化により、2017年1月26日の新宿ローンプラザのオープンから始まったリアル店舗の展開は、2019年8月時点で14店舗まで拡大しています。
代理店事業を軌道に乗せるために
今となっては様々な業種の企業と提携し、多くの店舗展開を実現していますが、代理店事業を進めるにあたって当時は社内・社外どちらにもノウハウがなかったため、店舗を展開する上でのセキュリティ基準やルールの整備も全てゼロから作り上げる必要があり、社内の関連各部や外部関係会社との調整には労力を費やしました。
また、パートナーとなった企業の中には新設法人も含まれていたため、会社としての独り立ちが出来るまでのガバナンス強化を指導する必要があったり、異業種から銀行代理業に参入したパートナーについては金融の一般的な知識から住宅ローンの専門知識までスキル向上させたりと、研修態勢の整備についても時間を要しました。
ですが、新しいことをやる以上決められたルールやお手本は無く、場合によっては既存の慣習を壊すことにも繋がります。そして新しいことを始めていくうえでは、利害関係が相反する局面や大きなリスクに直面することもあります。そのため、リーガル的な観点や業務的な負荷を意識しつつ、関係者と適切にコミュニケーションをとりながら進めていくことが必要であり、住信SBIネット銀行の"代理店事業"の成功の鍵はそこにあったと考えています。
また、パートナーとなる企業とも、営業・管理の両面から双方で補完し合い、強い信頼関係を築くことが出来たことも重要なファクターであったと思います。
事業立ち上げにおけるやりがい
自分が手掛けた店舗が開店し自分の知っている街に出店すること、多くのメディアに取り上げられることなど、努力が実際に「形」になることは達成感を生み、周囲からお褒めの言葉をかけてもらったときは嬉しさを感じました。
加えて、結果だけではなく、パートナー企業にとっての新規事業として、その企業の中枢に働きかけ、一緒に事業を立ち上げるというプロセス自体に大きなやりがいを感じることができました。
今後はパートナー企業のブランド力を活かした「NEOBANK®」にもさらに力を尽くし、パートナー企業のお客さまがより便利で快適にサービスを利用できるように、パートナー企業との協働を推進していきます。
また、新たなパートナー企業へのBanking機能の提供、更なる「NEOBANK®」の取組みを通じて、お客さまや社会の発展に貢する新しい価値を創造することを推進し、多くのお客さまに当社のBanking機能を利用いただける世界を目指していきたいと思います。
エピローグ
住信SBIネット銀行は自分がやりたいと思ったことを発言し、形にすることができる会社です。
それは若手、ベテランに限った話ではなく、誰にでも平等にあるチャンスです。そのため、主体的に仕事がしたい、新しいことを実現してみたいと思える人は当社で活躍できると思います。
また、新規事業の立ち上げでは、社内だけでなく社外の人も巻き込んでいくことが必要です。そのため、既存の概念に捉われることなく、新しいことを貪欲に取り入れたいと思うバイタリティのあるかたを求めています。